『グウェント』のアリーナモードがドラフトモードへと生まれ変わります

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アリーナがまもなくドラフトへと生まれ変わります。これまでの皆さんのフィードバックを受け、新たなドラフトモードのベータ版が配信されるまでアリーナを残すことにしました。以下の記事はゲームディレクターのジェイソン・スラマが書いたもので、今後のステップとアリーナおよびドラフトモードの利点と欠点についてまとめています。

アリーナモードを精査した結果、いくつかの問題があることを特定しました。

装飾アイテムを装備できない

簡単に修正できそうな問題ではありますが、現在のUIでは修正作業が煩雑になり、モードの刷新についても既に検討を重ねていたので、かねてよりこの問題を修正するタイミングを見計らっていました。ドラフトモードでは、現状のゲームの仕様に沿うようにUIを作り直し、新たなインターフェースがサポートできる形にアップデートします。

プレイするために必要な投資

アリーナモードでは業界のトレンドに合わせて、参加料を相殺するため、戦績に応じた報酬により参加を促すチケットシステムを導入しました。この仕様により、つい最近までアリーナが通常の進捗システムとは切り離されて管理されていました。このシステムは、複雑な形式ではなくよりシンプルなプレイ方法を好むプレイヤーにとって、無駄な障害を発生させてしまうと判断しました。

以上を考慮して、新たなドラフトモードには参加料を設けないことにしました。結果として、戦績に応じた報酬システムは現時点では導入しません。後者の仕様についてはプレイヤーの好みによって良くも悪くも捉えられてしまうかもしれませんが、こうした方針の転換を行った理由、そしてこれが避けられない変更であったという点をご理解いただければ幸いです。

カジュアルプレイヤーに向いていない

ランク/プロランク形式は、『グウェント』の対戦が最も輝く場であり、それをサブ的なモードの核にしてしまうのはあまりにもったいないと感じました。特に新規プレイヤーの場合は、試合に敗北し何らかのペナルティーが科せられ、マッチメイキングに対する不安を引き起こされることで過度にプレッシャーを感じるような事態は、このモードでは避けたいと考えました。

だからこそ、参加料や戦績に応じた報酬を取り除き、カードを選抜した上で試合を行うドラフトモードという新たな形式を模索しています。

この形式のアイデアや今後の計画に関する詳細は、また別の機会にご紹介します。

デッキの選抜

元のアリーナで気になっていた点について詳しく説明する前に、まずはアリーナが、構築コストがなかった頃の原点に戻るという意識のもと設計されていたモードだということをご理解ください。導入以来、デッキの選抜の知識に関しては大幅な変化は見られませんでした。上手く進化することができず、現状の『グウェント』のカードデザインにきちんと適応できていません。先にこのモードの気に入っていた点について見ていきましょう。

----------- 気に入っていた点 -----------

1 - 勢力に関する制限がない:勢力が混合したデッキを許可したことで、現在の通常形式ではできなかったカードの組み合わせが可能となり、大きな可能性をゲームにもたらしました。

この点については今後も維持します。

2 - デッキ作成のルールがない:最初の点と類似しますが、通常モードで認められているよりも多くの同名カードを所有できるので、アリーナのデッキの汎用性が増し、新たな可能性をもたらしました。

この点についても維持されます。

3 - アリーナに影響するプレミアムの収集:通常のコレクションでプレミアムを手に入れると、アリーナでパッケージを生成した際も、そのカードがプレミアム扱いとなります。この仕様のおかげでプレイヤーもカードの選抜に専念し、報酬獲得に向けた進捗にもいくらか寄与する側面がありました。

この点についても維持されます。

----------- 気に入らなかった点 -----------

では、既存のモードで気に入らなかった点も詳しく見ていきましょう。

1 - 時間がかかる:中にはデッキの選抜にあまり時間をかけない方もいるかもしれませんが、多くのプレイヤーはデッキの作成にかかる時間を考えるだけでも気が重くなってしまうのが実態でした。

デッキ作成においてプレイヤーは26枚の選択(カード25枚 + リーダーアビリティ1種)をする必要がありましたが、そこからさらに11枚の選択に絞り込みます、それに加え、デッキのストラタジェムを選択する必要があります。

2 - 相乗効果を生み出すのに必要なカードの枚数が多すぎる:例えば《ジョン・ナタリス》のようにある程度強力な「軍事」カードがないとまったく機能しないカードは、早い段階で選抜するべきではありませんでした。

新たなドラフトモードでは、プレイヤーのそれまでの選択が、次に提供されるカードに影響を及ぼします。

3 - 選抜したデッキの戦力差が大きい:選抜したデッキの戦力値に多少の振れ幅があるのは当然ですが、現状では大きな差が発生する頻度があまりにも高く、技術よりも運頼りな面が大きくなっています。

デッキの戦力差を完全になくすつもりはありませんが、底上げをすることで一切相乗効果を生まないような貧弱なデッキが提供される確率を大幅に下げたいと考えています。一方で、ゲームの新鮮味を失わせないためにも、ある程度の運要素は引き続き維持するつもりです。結果的に、一部の試合では一方のプレイヤーに他方のプレイヤーよりも有利な選択肢を与えることになるでしょう。また、始めのほうの選択に後半のものよりも大きな意味を持たせることで、選抜の段階でも技術的な要素を加えられないか検討を重ねています。

4 - 多くのリーダーアビリティが選抜に向いていない:構築にあたって、多くのリーダーアビリティをその勢力のカードにのみ影響するよう制限する必要がありました。混合勢力のデッキを所有しているプレイヤーにとって、こうしたリーダーアビリティは往々にして最悪の選択肢となっていました。

構築されたデッキとドラフトモードにおけるデッキ作成の溝を解消するため、プレイヤーに提供されるすべてのリーダーアビリティはドラフト固有のものとなります。ドラフトモードに適していると感じた場合は、リーダーアビリティを新たに適用または使用する可能性もありますのでご留意ください。

5 - 一部のカードは選抜に不要:単なるハンデと化してしまう可能性が高いため、大半のプレイヤーが求めていないデッキビルダーの制限がついたカードは配布されなくなります。一例として《ショープの休日》が選抜のプロセスから除外されます。ですが、ショープファンの方もご安心ください。彼はデッキビルダーの制限の影響を受けないドラフトモード固有のリーダーアビリティとして舞い戻ってきます。

----------- 3カードパッケージ -----------

これを念頭に置いたうえで、新たなドラフトモードのカードの選抜がどのように扱われるのか詳しく見ていきましょう。

最初に注目すべき最も大きな変化は、一度に1枚ではなく、3枚のカードが選抜されます。プレイヤーには3枚のカードが含まれる3つのパッケージから選択してもらいます。これにより、3つの重要な目標を達成できます。

1つ目は、プレイヤーが選択する項目を大幅に減らすことで、デッキの選抜にかかる時間を大幅に短縮できます。

2つ目に、相乗効果を生むカードを提供することで、ほとんど何の役に立たないカードばかりが含まれているデッキが配布される確率が減少します(つまり、《ジョン・ナタリス》の活躍の場が増えるはず)。

3つ目に、新規プレイヤーが『グウェント』のコンセプトやカテゴリを学ぶことができるテーマ/ラベル付きのカードを提供できるようになります。例えば、シニングパッケージと表された3枚の《ワイルドハントの騎兵》で構成されるパッケージがプレイヤーに提供され、デッキ構築におけるシニングのコンセプトを学ぶことができます。

カードパッケージは手動的に設定されており、通常のコレクションをベースとしたマルチプレイに登場するすべてのカードが含まれるわけではありません。パッケージよって、少なくとも最初の段階では時間のかかる工程を省略し、カード選抜の仕組みを制御できるようになるだけでなく、ゆくゆくは開発チームの好きなタイミングでコンテンツの追加/削除を行う余地も生まれます。

----------- パッケージの仕様 -----------

カード選抜のシステムは加重ランダム性のコンセプトを基に構築されています。つまり、アルゴリズムがプレイヤーに提供するものを選択する際に、すべての要素が平等に考慮されているわけではありません。例えば、2つのパッケージから選択しなければならない状況だとします。パッケージAの加重が3なのに対して、パッケージBは1だとします。つまり、パッケージBよりもパッケージAの方が提供される確率が3倍高いということです。

これに加え、加重そのものが流動的であり、デッキ選抜に際して変動します。実際には、前半のプレイヤーの選択が、後半で何が提供されるのかを大きく左右することになります。例えば「ニルフガード」のリーダーアビリティを選択した場合、「戦術」を軸にしたパッケージが提供される確率が大幅に上がります。

手動でひとつずつ選択するか、分かりやすい選択肢に制限しすぎてしまうか、その間でいかにバランスを保つのかが課題となります。

そのプロセスを補助する一つの手段として、パッケージのオン/オフを切り替えられるツールも用意しています。例えば、《集会》のように「炎誓い」と相性が良いリーダーアビリティを選択しない限り、このパッケージはプレイヤーに提供されないように設定することが可能です。

----------- パッケージのバランス調整 -----------

パッケージには3つのスロット(上、中、下)があり、各スロットに含まれるカードは異なる場合があります。また、3つのスロットに同じカード(《ワイルドハントの騎兵》が3枚など)がセットされたパッケージを作成する場合もあります。ほとんどのパッケージは、上のスロットにゴールドカードを、残りの2つのスロットにはブロンズカードをセットするモデルを採用しています。稀に、中央のスロットに構築コストの低いゴールドカードが含まれる場合もあるでしょう。

基本的にはゴールド1枚+ブロンズ2枚構成になるので、デッキ内のゴールドカードとブロンズカードの比率は安定することになります。《キュロット》が3枚含まれたシニングパッケージのように、中には強力なパッケージが登場することもありますが、全体の選抜の工程の中でも、このようなパッケージを見る機会は2~3回に限られるような出現確率に抑えてあります。

さらに、2回以上は同じものが提供されないように無効にすることも可能です。例えば《キュロット》が3枚含まれたパッケージを選択すると、そのパッケージと《ローチ》が3枚含まれたパッケージは登場しなくなります。

----------- カテゴリ -----------

カードパッケージは8つのカテゴリに分かれています。ドラフトのアルゴリズムの関係で最初に3つのカテゴリを選択し、そのカテゴリを元にパッケージがランダムで生成されるようになっています。この要素はカテゴリのまとまりが保たれていることよりも遥かに重要です。カードパッケージを異なるカテゴリに分けなければ、ドラフトで互いに関連性のある選択肢が3つ与えられる確率が0になってしまいます。選抜の確率にどれだけ良い影響を与えるかに応じてパッケージが選択される場合があるのはこれが理由です。

重要なのは、プレイヤーに表示されるカテゴリの選択もまた、流動的な加重アルゴリズムに基づいて選択されている点です。つまり、一部のカテゴリはその他のカテゴリよりも表示される確率が非常に少なくなります。中には選択に応じて確率が下がるように設定されているカテゴリもあるため、そのカテゴリのパッケージを選択するたびに同じカテゴリが表示される確率がガクッと下がるものもあります。

現在予定されているカテゴリと、どのパッケージがそのカテゴリに該当するのかを見てみましょう。どれも今後の開発で変更される場合がありますのでご了承ください。機能:これらのパッケージはその他のカテゴリに該当しない主だったメカニズムを基に構築されています。

例:

調和、コイン、移動、命令、入手、遺言、不忠

種族:特定のカテゴリを共有するカードを基に構築されたパッケージです。これらのパッケージのほとんどはデフォルトでは無効となっており、プレイヤーが作成しているデッキに一致すると判定された場合にのみ有効となります。

例:

ドリアード、ワイルドハント、船と海賊、エルフ、ドルイド、盲目結社、兵士、貴族

攻撃:これらのパッケージは主にダメージを与えることで対戦相手に対して優位を築くカードを基に構築されたパッケージです。

例:

出血、封印、懸賞金、毒、攻撃

コンボ:これらのパッケージはより凝った構成となっており、極めて価値が高く、基本的には単体でも力を発揮できる内容になっています。最もレアなカテゴリで、これらのパッケージだけでデッキを構成できる確率はほとんどありません。

例:

《カンビ》3枚、ランダムな《ゲラルト》3枚、妖婆+《デュラ・カマーニ》+《ルーン細工師》

防御:これらのパッケージはユニットの生存に重点を置いています。現時点ではシステムの都合上、守護者のステータスを保有したユニットは1枚しか選択できませんが、今後のアップデートで変更となる可能性はあります。

例:

《スクルス》、シールド、アーマー、ブースト、守護者

価値:これらのパッケージはポイントの生成に重点を置いています。

例:

事前バフ(デッキ+手札のバフ)、高火力、群れ、炎誓い、備蓄

スペシャル:これらのパッケージはスペシャルカードから構成され、さまざまな関連カテゴリに分かれています。特殊な教官もこの中に含まれています。

例:

自然、オーガニック、錬金術、急襲、犯罪、戦術、軍事、その他

シニング:これらのパッケージはデッキからカードを召喚することを重視していて、多くが凝った構成になっています。例えば《刺青隊の精鋭兵》は、《ロッシュ:冷血漢》を最初のカードとして手に入れられる可能性があり、さらに《刺青隊の精鋭兵》をコンボとして召喚できる可能性があります。

例:

《名犬キュロット》、《フォグレット》、《禁衛旅団》、《刺青隊》、《楯の乙女》この記事を書いている時点で、名前付きのパッケージが79種と、8つのカテゴリが既に存在します。これらのサブパッケージの多くは、パッケージ内のカードだけを使用したとしても無数の組み合わせが存在します。この仕様の改善を重ねていく中で、より多くのサブパッケージを追加または削除する予定です。要約すると、ドラフトモードで提供されるカードと、プレイヤーが最終的に作成するデッキは大きく異なるということです。

さらに、一部の(極めて稀な)例外を除き、各カードスロットは設定内の8枚のカードからのみ選択される仕様となっています。

----------- 主要カードとリーダーアビリティ -----------

いずれはドラフトモードにカスタムのリーダーアビリティを追加したいと考えていますが、まずはその前に、オープンベータ期間中にドラフトモードの設定がどのように進化するのかを見守る考えです。とはいうものの、各勢力には、ドラフトモードに比較的適合しそうなリーダーアビリティが最低でも4つはあるはずです。

選抜の工程では、プレイヤーには選択可能な3枚のゴールドカードが表示されます。私たちはそれらのカードを「主要カード」と呼んでいます。主要カードとは以降に表示されるパッケージの中には含まれていないので、手に入れるチャンスはこの時だけです。

主要カードのわかりやすい例が、進化型カードや脚本です。とはいえ、これらはレジェンダリーカードに制限されるわけではなく、一見すると平等に作られていないように見えるかもしれませんが、それぞれに重要な役割があります。各主要カードは、残りの選抜の加重と利用可能なパッケージに対して大きな影響を与え、最終的に組みあがるデッキでは強力な相乗効果を発揮できるカードを入手できる確率が高くなるよう設定されています。

リーダーアビリティと主要カードはどちらもそれぞれの勢力と連動し、カードパッケージのカテゴリと同じように作用します。つまり、プレイヤーは選抜中に同じ勢力のリーダーアビリティや主要カードを2枚以上見ることはありません。これにより構成されるデッキの幅を担保することができます。

----------- ドラフトの流れ -----------

最終的な順番は以下のとおりです。

リーダーアビリティ -> 主要カード -> 3枚のカードパッケージx8回->ストラタジェム

主要カードとリーダーアビリティが選抜に与える影響を最大化させるため、これらはプレイヤーが最初に選択することになります。

----------- 最後に -----------

ドラフトモードでやりたいことはまだまだたくさんあります。このモードで良い戦績を残すため動機を与えるために、例えばMMRのようなある種の進捗システムを追加したいと考えています。進捗に応じたデッキの調整方法についても検討中で、現時点では試合をプレイした後の段階に導入することになりそうです。

最善の組み合わせを獲得する確率を最大化することを目的に、何度もドラフトをやり直すのを防ぐため、クールダウンのような形で制限を設けることも考えています。試合を投げ出してしまうようなデッキが出ないようになれば、ドラフトモードを楽しむためにそんな真似をしようと考える人もいなくなるのではと私たちも期待しています。

新規および既存のプレイヤーの皆さんに、これからも『グウェント』を楽しんでいただくため、引き続きドラフトのシステムの開発に注力してまいります。本作を楽しむための新しいモードにどうかご期待ください。
 
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