ナイトシティを構成する6つのエリア - 公式紹介まとめ

+
本スレッドではCD PROJEKT RED(以下CDPR)が公開している「District Feature」を全部まとめて日本語に訳しています。

ナイトシティを構成する6エリアについては公式ツイッター(日本語を含む)でも簡単に紹介されていますが、フォーラム(とDiscord)ではより詳しい内容が公開されており、2020から2077に至る間のナイトシティにどのような変化があったのかといった興味深い情報も多いです。オススメ!

【INDEX】
  1. ワトソン地区
  2. ウェストブルック
  3. シティ・センター
  4. サントドミンゴ
  5. ヘイウッド
  6. パシフィカ
  7. バッドランズ
----------------------------------------

【注意事項】

参考程度にナイトシティのマップ〜2077版と2020版〜の2つを下に掲載しています。
  • 2020のマップと比べた時、2077版は地形やロケーションの位置がかなり異なることに気づくと思いますが、これは(おそらく)2022年に起きた第四次企業戦争で核兵器が爆発し、その後ナイトシティで大規模な都市再建が行われたためです。一応そのあたりについては訳注部分でできるだけ情報を補足してはいますが、ただ現時点では旧ナイトシティのどの部分がどうなって新ナイトシティとして生まれ変わったのか、新作Cyberpunk Redでもまだ詳細がはっきりしない部分が多いです。その点に注意してください。
    【追記:2020/10/08】Cyberpunk Red版(2045年)のナイトシティマップを追加(ソース
districts_nc2.jpg nightcity2045.jpg nightcitysuburb.png nightcitydowntown.png *クリックで拡大
*左から2077版(Thanx to reddit)、Red版2020版2020版ダウンタウン(左の2020版広域マップの赤枠部分)
 
Last edited:
1. ワトソン地区(翻訳元スレッド:District Feature: Watson



ワトソン(*1)へようこそ!

かつてこの一帯にはあらゆる施設がひしめき合っていた。ナイトクラブ、摩天楼、企業オフィス、最先端医療施設はもちろんのこと、ナイトシティ最大のブラックマーケットまで存在した。アラサカと競合する日本企業が自社の自給力を高めるべく、このエリアの繁栄のために数億Eb規模の投資を行っていたからである。

ところが「Unification War (*2)」を終えてアラサカがナイトシティに戻ってくると事態は一変した。他企業が(アラサカに)搾取されたことによって、安定した経済基盤を失ったワトソンは、その繁栄に終止符を打つことになってしまった。以前は最先端テクノロジーの密集エリアだった「Northeside Industrial District」は雇用を生み出すことすらできず、路頭に迷った人々で溢れている。経済基盤をまるごと飲み込んでワトソン地区を我が物にしたアラサカは、今や臨海エリアに「Arasaka Waterfront」という港湾施設まで手に入れた。

悲哀に満ちた現在のワトソン地区は、ナイトシティで最も貧しいエリアの一つであり、と同時にメイルストロームタイガークロウズが抗争を続ける主戦場でもある。

メイルストロームが根城とする「Northside Industrial District」は”NID”の略称で知られ、多くの廃工場と労働者階級のアパートが立ち並ぶ一画。有名なバー「トーテンタンツ (*3)」もここにある。

一方のタイガーグロウズはリトル・チャイナとカブキをテリトリーに持つ。かつてはダウンタウンの一画だった現在のリトル・チャイナは、2040年代後半から増殖したアジア系移民を中心に今や人と高層ビルが入り混じる人口密集地帯である。また以前は医療関連の中心街だったMed Center(*4)もこのエリアに位置するが、現在は(医療目的ではなく)カブキ・マーケットを目当てに人々の往来が絶えることはない。

リトル・チャイナに隣接するカブキ(*5)は、狭苦しい路地が迷路のように入り組んだ一画で、夜になるとインプラントやステロイド〜中には臓器売買といったものまで〜数多くの露店が軒を連ねる。巷ではカブキ・マーケットで手に入らないものはないとまで言われ、ワトソン地区はScavs(良心の呵責なく臓器やインプラントを人々から調達する闇商人のこと)の格好の的にもなっている。

ワトソン地区の残りは「Arasaka Waterfront」で占められ、ここは従業員以外の立ち入りが一切許されていない。

----------------------------------------

*訳注
  • *1:ワトソン地区というのは原作2020には存在しない(少なくとも記載がない)。ただし第4次企業戦争(2022〜2025:詳細はこちら)の際、アラサカタワーで戦術核兵器(戦場単位で用いられる射距離が短い核兵器のこと)が爆発し、市内が壊滅状態に陥った(ナイトシティ・ホロコーストと呼ばれる)ことによって、その後ナイトシティは再建を余儀なくされることになった。2020の後を描いたシリーズ最新作「Cyberpunk Red」では「赤の時代 (2025-2045年の時期を指す:詳細はいずれ)」に進められたこの再建プロジェクトでナイトシティの街並みが大きく変わっていく様子が描写されており、その中に(”ワトソン”の記載と共に)次のような一説がある:
    
赤の時代に入り、ナイトシティは大いなる変革を迎えていた。破壊された建物の再建が続く中で、人々の新たな居住空間として(ナイトシティ・ホロコーストによって200万人もの市民がホームレスと化した火急の事態に伴って)居住スペース、エンターテイメント、フードコート、ショッピングモールなどを全て一体化した新世代の集合型施設が建設され始めたのである。 経済の停滞が続く郊外のワトソンやヘイウッド地区のようなエリアでは、これらの巨大メガビルディングが人々の新たな居住空間としてますます一般化していくだろう。

  • *2:Unification Warというのは2069-2070年に全米で勃発した自由州をめぐる国内対立のこと。詳細は以下:
    • 2069年末、直近の選挙で勝利したばかりの新大統領「Rosalind Myers」は、富国強兵を口実に、連邦支配を自由州へと拡大する「国家統一プログラム」を発表。合衆国内の多くの自由州がこれに反対するものの、すでに国有化されたミリテクを連邦政府のお膝元として抱えるNUS(New United States)は、独立を維持したい各州に向けて宣戦布告するという強硬手段へと打って出た。独立支持派(下記参照)のうち、ワシントン/オレゴン/アイダホの3州は連邦政府への譲歩策としてできるだけ中立を保っていたが、その一方で彼らを裏から支援する企業も現れた - それがアラサカである。
      しかしながら、連邦政府が掲げる「統一プログラム」を支持するその他各州の助勢もあり、NUSAによる武力侵攻はその後も推し進められた。自由州をめぐって勃発したこのUnification Warは、両陣営が最新の軍事テクノロジーを駆使していたこともあり「Metal Wars」という名称でも知られる。
      注:2020の時点では米国内で独立を果たした自由州は以下の5つしかなく、2020以降にさらなる自由州が米国で成立したかどうかは定かではない:
      • テキサス - 1999年
      • アラスカ - 2000年
      • カリフォルニア - 2002年
        • 注:カリフォルニア自由州は2012年に南北に分裂し、独立した北カリフォルニアの方も自由州として2015年に連邦政府から認可されている
      • ネバダ - 2003年
      • ユタ - 2014年

      Unification Warで自由州の独立を支援していたのは次の10州:コロラド、ニューメキシコ、ワイオミング、モンタナ、アリゾナ、ネバダ、北カリフォルニア、ワシントン、オレゴン、アイダホ

      赤とピンク(自由州)が独立支援派、青は独立支援派には属さない自由州

    • 一方、当時のナイトシティではこの対立を静観したいという当初の思惑はあったものの、それもつかの間、連邦政府の統一プログラムをめぐって北と南で意見が真っ二つに分かれてしまった。賛成派であるSoCal(南カリフォルニア)が連邦政府につく傍ら、自由州として独立を維持したいNorCal(北カリフォルニア、ナイトシティはこっち)はこれを断固拒否 - いつ連邦政府軍が街中へ流れ込んでくるのか、ナイトシティの住民は固唾を飲んで見守った。

    • 2070年初頭、NUS軍がナイトシティ郊外へと押し寄せたが、ここで彼らの侵攻を止めたのが当時のナイトシティで市議会議員をつとめていた「Lucius Rhyne」だった。彼は自身の10年にも及ぶ議員生活で得た人脈を頼りに(第四次企業戦争以降は誰もが公に接触を避けていた)アラサカへ救援を要請したのである。こうしてアラサカ軍が - 数日を待たずして - Coronado Bayに降り立つと、その数時間後にはNUS軍の退却が早くも開始された。

    • アラサカが公にUnification Warへと介入したことによって、この国内抗争にも終止符が打たれることになった。連邦政府と自由州連合の間で協定(Treaty of Unification)が締結、各自由州にはその自治権と新連邦政府への参加が認められ、両者の対立はここに収束した。ちなみに大統領のMyersがこれに同意したのは、アラサカがこれ以上関わってしまうとNUSAが制御できなくなるほど対立が更に激化してしまう、という懸念があったからである。この平和協定はどの陣営にとっても満足できるものとは言い難かったが、対立が続き新たなグローバルクライシスを呼び込むよりはよっぽどマシ、というのが両者が下した共通の判断だった。

    • Unification War終結後、ナイトシティは国際都市として、また北カリフォルニア自由州やNUSAからも独立した自由都市として、再び社会から認識されるようになった。これはナイトシティがこれまで以上に超巨大企業の影響を傘下に収めた結果であり、NUSAにとっても西海岸の主要都市であるナイトシティの更なる発展のために、企業による巨額の投資を連邦政府が認めたからでもある。(2030年代から進められていた)街の復興、2070年に開始されたアラサカタワーの再建はその最終作業といえるだろう。2023年に崩壊した旧アラサカタワーの跡地にアラサカの新オフィスビルが建設され、ナイトシティの繁栄はここに再び息を吹き返すこととなった。

  • *3:トーテンタンツ(Totentanz)は原作2020ではブースターギャング御用達のクラブとして登場(上の"2020版ダウンタウン"のマップでいうとA3に位置)。なおCDPRは2019年E3等で「Totentanz」を模したブースで出展した

  • *4:Med Centerは上の"2020版ダウンタウン"のマップでいうとB4の区画に該当し、2020のナイトシティでも人の往来が特に多かったエリア。当時この一帯で盛んだった医療関連ビジネスのおかげで人でごった返していた。

  • *5:リトル・チャイナは"2020版ダウンタウン"のマップでいうとC4の区画。それに隣接するC3がジャパンタウンで、2020時代にはこの一画に「The Bodukkan Center for Preforming Arts」と呼ばれる西海岸でも有数の劇場があり、ここで"Shinobu Nakagowa"率いる歌舞伎座の公演が行われていた。

NORTHSIDE INDUSTRIAL DISTRICT


LITTLE CHINA


KABUKI


ARASAKA WATERFRONT


 
Last edited:
2. ウェストブルック(翻訳元スレッド:District Feature: Westbrook



ウェストブルック ー ヒエラルキーの頂点にいる超エリート層が居を構えるこのエリアは、最適な居住環境と娯楽施設が共存し、多くの者がここをナイトシティで最高の場所だと評する。しかしながら、ウェストブルックが昔から現在の姿だったわけではない。2023年にアラサカタワーで爆発した核兵器は、シティセンターと隣接するウェストブルックの一部地域にも甚大な被害を及ぼし(*1)、廃墟と化した摩天楼と山積した屍が20年以上もこの地を覆っていたのである。

その後大規模なナイトシティ再建プロジェクト(*2)が始まると、このエリアの再建はアジア系企業によって進められ、と同時にかつて「コンバットゾーン」として知られた旧ナイトシティの無法地帯(*3)は一転して警備の行き届いた上流階級な一画へと変貌を遂げていった。

以前までの「North Oak」は最も犯罪率の高いエリアに数えられることもあったが、その後軍隊の積極的な協力もあり現在は秩序を取り戻している(*4)。ギャング抗争も一切無縁な土地へと再生したこの一帯は、今では企業幹部に代表されるエリート層がこぞって居を構え、各自プライベートセキュリティを雇い入れる。近隣周辺は美しい街路樹が立ち並び、どこもかしこも高級車とテニスコートを備えた大邸宅ばかり。ナイトシティで最も美しい地区、それが現在のNorth Oakである。

一方、野心に溢れた企業連中の全てがNorth Oakに住めるとは限らない。こうした(リッチ層であることには変わりないが)”まだトップには上り詰めていない”者たちの生活拠点が「Charter Hill (*5)」で、このエリアには集合住宅が密集する一画もある。(North Oakとは違って)ここで暮らすリッチ層は外部から日常的に攻撃を受けやすい環境に身を置いており、各自ボディーガードを雇い、車両の装甲も抜かりなく準備しておかなくてはならない。彼らが豪華絢爛な生活を少しでも享受したいというなら、その程度は払って然るべき代償なのだ。

もしあなたが十分なエディー(注:サイバーパンクの世界で流通している通貨EuroDollarの俗称)を持ち合わせているなら、是非ともジャパンタウンへ足を運んでみよう。そんな金はないって?ならばローンを組んで、一夜限りの夢を見てみるのもまた一興だろう。シティ・センターの目と鼻の先にあるこの一帯には、ゲームセンターや屋外屋台、カプセルホテルなどが無数にひしめき合っており、これほど魅力的な場所はどこにも存在しない。

----------------------------------------

*訳注
  • *1:上述「ワトソン地区」の訳注1でも紹介したように、アラサカタワーで戦術核兵器が爆発した事件のことを「ナイトシティ・ホロコースト」と呼ぶ。2023年8月20日に起きたこの惨劇で、ナイトシティは壊滅状態となり、またこれが引き金となって当時の米国大統領「Elizabeth Kress」は(報復のためにミリテクがアラサカの東京本社を攻撃しないよう)すぐさまミリテクを米軍の指揮下に置き、その一方で国内のアラサカ軍を追放するという決断を下した。

    なおアラサカタワーは上の”2020版ダウンタウン”のマップでいうと、B2(Corporate Center)とB3(金融街)にはさまれた「Corporate Plaza」と呼ばれる丸いエリア(”Corp. Center Closeup”と表記されている箇所)に位置し、つまりこのエリアがホロコーストの爆心地である。ここは他にもEBMやPetrochemなど超巨大企業の超高層ビルが乱立する市の中枢エリアだった(アラサカタワーはその中でも一番高い120F建てのツインタワー)。また2020時代の”City Center”は市役所などがあるエリアで、上述”Corp. Center”の北側の区画(A3)のこと。

  • *2:上述「ワトソン地区」訳注1を参照

  • *3:旧ナイトシティのコンバットゾーンについてはこちらを参照

  • *4:2020時代のNorth Oakは隣接するウェストブルックと同様、ナイトシティの郊外エリアの一つ(上の”2020版”マップ参照)。郊外としてはダウンタウンから最も近くに位置し、湾岸部の”East Marina (ダウンタウンA6の区画)”から「Del Coronado Bay」をはさんで対岸に臨むNorth Oakの街並みや船舶を眺望することができた。

    当時のNorth Oakは軍隊関連の施設が集中する一帯で、NorCal(北カリフォルニアのこと:2012年にカリフォルニアが南北に分裂した後、NorCalは2015年に政府から正式に自由州として認可された)の州政府が事実上この土地を(軍の主要施設として利用するために)支配していた。そのため当時のNorth Oakの犯罪率は(軍が幅をきかせていたため)すこぶる低く、上の「以前最も犯罪率の高いエリアに数えられることもあったエリア」という説明は、おそらくホロコースト以降の話だと推察できる。

  • *5:Charter Hillは上の”2020版ダウンタウン”のマップでいうとC6の区画。当時のCharter Hillには「ハシエンダ (Hacienda)」と呼ばれるホテルとカジノを兼ね備えた(超リッチ層向けの)本格的な統合型リゾートが存在した。

NORTH OAK


CHARTER HILL


 
3. シティ・センター(翻訳元スレッド:District Feature: City Center



シティ・センターはまさにナイトシティを象徴する場所である。第四次企業戦争(2022-2025)中にアラサカタワーで核兵器が爆発し、戦場の傷跡がその後も癒えることのなかったこの地が、数十年前まで瓦礫の山と化していたとは今や誰も想像できない。このエリアの再建には多くの時間と莫大な費用が投じられ、再建プロジェクトが開始されたのは2030年代まで遡る。その後2070年代に入って新たなアラサカタワーが建築されたことによって、ようやくこの地の復興が完了し、現在はナイトシティで最も警備が厳重な地区となった。

近代的で最先端の建築物に埋め尽くされたシティ・センターでは、傲慢を極めた巨大企業がいかに比類なき権勢を振るっているかを目の当たりにすることができる。ナイトシティの経済力はここで生きる金持ちどもによって築かれているのだ。

「Corpo Plaza (*1)」にそびえ立つ摩天楼は、天にも届かんばかりに屹立し、まばゆいほどのネオンで彩られている。この一画はシティ・センターの心臓部であり、アラサカミリテク、Biotechnica、Perochem、カン・タオといった超巨大企業(の超高層ビル)が一堂に会する場所。

一方、Corpo Plazaに隣接するエリアが「ダウンタウン」で、ここには狭い裏路地とナイトクラブ、セレブリティー、企業関係者などでごった返している。多くのオフィスビルが立ち並び、風変わりな建物も珍しくない。高級マンションやホテル、レストランなどにも事欠くことはないだろう。またダウンタウン北側の臨海地区は、芸術家やスノッブ共が集まる芸術/文化の中心地であり、あらゆる街角にギャラリーやアトリエ、コンサートホールなどが点在している。
このようにダウンタウンは優雅さと力強さを兼ね備えた魅力的なエリアではあるが、甘美な世界につられて油断してはいけない。裏通りを一歩間違えば、安っぽいラブホテルや大衆酒場が並ぶ界隈へと迷い込み、薄暗い路地裏で行われている麻薬取引やその他の厄介ごとに巻き込まれるかもしれない。ここではそうした裏社会もまた日常の光景なのだ。

----------------------------------------

*訳注
  • *1:上述「ウェストブルック 」の訳注1でも少しふれたように、2020時代の旧ナイトシティにも「Corporate Plaza」と呼ばれる巨大企業の摩天楼が集中する一画があり、具体的には以下のように12の超高層ビル(というよりタワー)が乱立していた。
    corporateplaza.png *クリックで拡大

    • 余談ながら、かつてナイトシティでは2005年頃からギャングに代表される暴徒たち(Mob)が街を仕切っていた時期がある。当時の企業連中はこれに関与せず郊外に難を逃れつつも裏から市政を操っていたのだが、この時彼らは市内の様子をうかがうために、郊外だけでなくこのCoporate Plazaにも逃げ込んでいた(それほど当時からこのエリアの警備は鉄壁だった)。
その後街の治安悪化に歯止めが効かなくなり、業を煮やした企業側が「Mob War」と呼ばれるギャング掃討作戦を2009年に開始。ナイトシティが本格的に企業に支配されていくようになったのは、このMob Warに端を発する。

CORPO PLAZA


DOWNTOWN


 
4. サントドミンゴ(翻訳元スレッド:District Feature: Santo Domingo



サントドミンゴはナイトシティで最も古い地区の一つ。街の中心部から離れた立地だったことが幸いし、第四次企業戦争による深刻な被害は免れたものの、代わりに数千人もの被災者たちが押し寄せ、当時この地は一時的な避難民キャンプとして利用された。その後これら仮設住宅は全て姿を消し、現在のサントドミンゴは産業プロジェクトの試験場として、各企業が工場の建て替えや再開発を進めている。

しかしながら(ナイトシティの復興で)高層ビルが再び乱立していく一方、この地で暮らす人々はその恩恵にあずかることなく、今だに糊口を凌ぐ生活を強いられている。「シックス・ストリート (*1)」はこのような環境に辟易した退役軍人たちによって、問題の解決を(他人任せではなく)自らの手に委ねるべく結成された。現在のサントドミンゴが彼らのシマになっている所以である。

「Arroyo」はサントドミンゴにおける産業の中心地で、この一帯はある種のコントラストを感じ取れる場所でもある。企業が新設したハイテク工場のすぐ隣には、古めかしい原子力発電所や廃品投棄場が今だに存在しているし、稼働中の工場はプライベートセキュリティが常に目を光らせている。放棄された建物があればすぐにギャングに占拠されてしまうからだ。

「Rancho Coronado」はArroyoで働く労働者が暮らすエリア。ここは自給可能な住宅街で、同じような家が数十軒と建ち並んでいる。近隣周辺を見渡せば、20世紀中頃の典型的なアメリカ郊外の街並みを彷彿とさせるだろう(*2)。

----------------------------------------

*訳注
  • *1:シックス・ストリートという連中は原作2020に登場せず、おそらく2077の新生ギャングだと思われる。


    直近のスクリーンショットから:シックス・ストリートと思わしき面々

  • *2:2020時代のランチョ・コロナド(Rancho Coronado)はナイトシティの南部に広がる郊外エリアの一つ(上の”2020版”マップを参照)。当時この一帯は「Del Coronado Harbor」と呼ばれるナイトシティ最大のBeaverville(下記参照)で、ハイウェイ126号線沿いに何マイルにもわってトラクトハウス(似たような住宅が一定の区画(tract)に立ち並ぶ郊外の住宅地のこと:参考)が広がっていた。

    余談ながら、1994年に完成したナイトシティはかつて「コロナド・シティ」という名称で、これは「Del Coronado Bay (架空)」に建設されたことに由来する。その後1998年に創設者のリチャード・ナイトが暗殺され、市議会が哀悼の意を込めて街の名称を「ナイトシティ」に変更した。なお実際のナイトシティのロケーションは現実世界でいうMorro Bay周辺がモデルになっている模様(参考

    • Beavervilleについて:
      原作2020ではナイトシティを構成する市民層として7つのヒエラルキーが紹介されており、そのひとつに「Beavers」と呼ばれるミドルクラス層が存在した(詳細はこちら)。Beavervilleというのはこの層が中心となって形成されたコミュニティのことで、2020時代のナイトシティに存在した主要なBeavervilleは以下の5つ:
      ・WestWind Estates(Pacifica)
      ・The Oaks(Northoak)
      ・Apple Corporate Valley(Heywood)
      ・Del Coronado Harbor(Rancho Coronado)
      ・Executive Estates(Westbrook)

ARROYO


RANCHO CORONADO


 
5. ヘイウッド(翻訳元スレッド:District Feature: Heywood



ヘイウッド(*1)ではその際立ったコントラストがとにかく目を引く。シティセンターに近い北側エリアでは、見上げるばかりの超高層ビルと緑豊かな公園が共存する一方で、そこから南に足を運べば街並みは一変し、人を寄せつけない危険なスラム街が眼下に広がっている。とはいえヘイウッドもそこまで悪い場所ではない ー ヴァレンティーノズシックス・ストリートといったギャングが仕切っているエリアであることを忘れず、あなたが目立たないように大人しくしていればの話だが…。

この地区はナイトシティ最大の住宅街として知られ、数多くの住民がここで暮らしている。ヘイウッドの高級エリアはほぼ企業連中によって占拠されているが、時には例外もあり、どこぞの余所者(*2)がここにアパートメントを手に入れることもある。いずれにせよ(企業関係者ではない)通常の市民にとって、ここで暮らせることは純粋に幸福なことだといえる。ヘイウッドを除けば、彼らに残された居住区はあとはパシフィカか街の外に広がるバッドランズしかないからだ。

ヘイウッドで最も治安が良い「Wellsprings」には、多くの労働者と(低賃金クラスの)企業社員で溢れており、アメリカのごくありふれた街の様相を呈している。

ナイトシティが企業連中に支配されるようになってから(*3)、行政関係者は「Glen」に居を定めるようになった。現在この一帯は州政府(*4)が管轄するエリアとして、市庁舎や市長オフィス、裁判所などの他に、NCPD(Night City Police Department:ナイトシティ警察)の建物などもある。

「ビスタ・デル・レイ」はヘイウッドで最も貧しいエリアで、この一帯は十分な投資を受けられていない。そのため犯罪が蔓延り、ここを離れる住民に変わってギャングが進出するなど、周辺界隈の混沌は加速する一方である。

----------------------------------------

*訳注
  • *1:原作2020時代のヘイウッドはダウンタウンの南に広がる郊外エリアの一つで(上の”2020版”マップを参照)、NorthOakとRancho Coronadoに挟まれたDel Coronado bayの東側には軽工業の施設が数多くあった。また上述「サントドミンゴ」の訳注2でも紹介したように、ここの南域には「Apple Corporate Valley」というBeavervilleが存在するなど、この一帯は住宅エリアとしても機能していた(ちなみに”Apple Corporate Valleyはバイオテクニカ(バイオテクノロジーと遺伝子工学を専門とするイタリア企業)の支配下にあったBeaverville”)。
    
他にも当時のヘイウッドには丘陵地帯を利用して大小様々な工場が点在しており、アラサカの武器工場やバイオテクニカの研究所、EBM(ドイツのコンピューターメーカー)のオートメーション工場、ミリテクのトレーニンググランドなど、数々の施設が存在した。

  • *2おそらくこの余所者がゲーム版2077の主人公「V」のことだと思われる。48分ゲームプレイ動画で公開されたVのアパートはヘイウッドにあるのかもしれない(あくまで推測)。
    【追記】榊原さん@CDPR によるとVのアパートはリトルチャイナ(ワトソン)にあるそうです :cry:ソース

  • *3:上述「シティ・センター」の訳注1で少しふれたように、ナイトシティが本格的に企業に支配されるようになったのは、2009年から2011年の間に行われた企業連中によるギャング掃討作戦「Mob War」がきっかけだが、原作2020に「Glen」と呼ばれるエリアは存在しない(少なくとも記載がない)ため、上でいう「ナイトシティが企業連中に支配されるようになってから」というのは、ホロコースト以降(ナイトシティ再建後)の話である可能性もある。

  • *4:上述「ウェストブルック 」の訳注4でふれたように、ナイトシティは北カルフォルニア自由州に属する

WELLSPRINGS


GLEN


 
Last edited:
6. パシフィカ(翻訳元スレッド:District Feature: Pacifica



本来のパシフィカは、美しい砂浜と高級ホテル、そして極上のエンターテイメントを提供する楽園として、企業関係者や旅行客を対象としたナイトシティの観光リゾートになるはずだった…。

しかし世界経済が破綻し、企業投資家がプロジェクトへの出資から手を引いたことで、このリゾート計画は泡沫の如く消え失せてしまった(*1)。建設途中のほとんどの建物はそのまま放置され、むき出しのコンクリートと鉄骨が今後も形を成すことはないだろう。本来なら観光客であふれていたはずのこの地は、今や貧困と暴力とギャングの巣窟と化している。

謎めいた技術屋集団にしてネットランナーの集まりであるヴードゥー・ボーイズは、ここパシフィカを根城とする。故郷が天災に見舞われ、その後ナイトシティへ移り住むようになったハイチ系コミュニティによって結成された彼らは、現在パシフィカを拠点に活動を続け、NCPD(ナイトシティ警察)すら見捨てたこの一帯のコミュニティを仕切っている。

----------------------------------------

*訳注
  • *1:原作2020時代のパシフィカはナイトシティの南部に位置する太平洋に面した郊外エリアの一つ(上の”2020版”マップを参照)で、上流階級向けの住宅エリアというだけでなく、北部には「Playland By the Sea」と呼ばれるテーマパークも存在した。

    当時のパシフィカはミリテクのセキュリティ部門と契約していたため治安もよく、サンフランシスコにあったアミューズメントパーク(注:かつてサンフランシスコに実在した”Playland at the Beach”のこと:参考)を改装した新たなPlaylandは多くの観光客を呼び込んでいた。また沿岸部の"Coastview"は海とPlaylandを眺望できる高級住宅地として多くのコンドミニアムが建設され、ナイトシティで唯一リラックスできる地区でもあった。

    このように2020時代のパシフィカはすでに「リゾート地」として成立していたため、上で説明されている「世界経済が破綻し、企業投資家がプロジェクトへの出資から手を引いた〜」というのは、おそらくホロコースト以降(ナイトシティ再建後)の話だと思われる。なお上の”2077版”マップにはパシフィカ内の区画として「Coast View」と「West Wind Estate」の二つが確認できるが、前者は先述の高級住宅エリア(2020時代)、後者は上述「サントドミンゴ」の訳注2で紹介したBeavervilleとして原作にも記載がある。



 
7. バッドランズ(翻訳元スレッド:District Feature: Badlands



バッドランズはナイトシティの外に広がる平原地帯。このエリアはノーマッドがまばらに暮らしている程度で、ここと比べればナイトシティも砂漠のオアシスのような存在になってしまう。とはいえ、この地にも確かな生活の営みがあり、知る人ぞ知る「千載一遇のチャンス」に出くわす機会も多い。あなたがここへ足を運んだなら、きっと多くの「サプライズ」をもって迎えられるだろう ー もちろん「サプライズ」の方が先にあなたを訪ねてくるかもしれないが。

バッドランズで暮らしているのはノーマッドだけではない。ここはトライブから追放された「Wraiths (*1)」と呼ばれるギャングとその家族たちの棲家でもあり、主に彼らが原因で企業関連の多くの輸送機関が行方不明になっている。武装エスコートを伴わず彼らのテリトリーに無警戒で入っていくことは、自ら火の海に入っていくのと同じだということを忘れてはいけない。

手付かずのままの採掘資源と放棄された油田地帯が広がっている北部に比べ、バッドランズの東部は化学物質とごみに埋め尽くされた荒廃した土地が続く。酸性雨によって甚大な環境汚染を被ったこの地に再び作物がもたらされることはないだろう。またこの地の堪え難い悪臭を運んでくる風を感じる度に、ナイトシティの住民はいやでもこの地の存在を思い出すことだろう。

一方、バッドランズの南側に広がる砂漠地帯には、Jackson Plainsの発電所やバイオテクニカの農場があり、それほど退廃的な雰囲気は感じさせない。そのため安全と高を括ってどんどん先に進みたくなるかもしれないが、ここでも警戒を怠ってはいけない。さもなくば一瞬のうちに丸裸にされてしまうからだ。

----------------------------------------

*訳注
  • *1:一応参考程度に補足しておくと...
    原作2020にはノーマッドの一種として「Raffen Shiv」と呼ばれる反社会性人格者の集団が存在した。同族のノーマッドからも忌み嫌われるほど悪の限りを尽くす連中のことを指し、その中でも最大勢力をほこっていたのが「Wraighs」と呼ばれるグループで、過去のインタビューからこの「Wraighs」がゲーム版2077に登場することが示唆されていた。ただしここで言及されている「Wraiths」が原作2020の「Wraighs」と同一のものであるかは定かではない(微妙にスペルが違う上、公式発表ではノーマッドの一種というより”ギャング”の扱いになっている:参考↓)。なおノーマッドおよびRaffen Shivについての詳細はこちらを参照のこと。

NORTHERN OILFIELDS


EASTERN WASTELANDS


SOUTHERN DESERT


 
Top Bottom